子供が巣立って行き、夫婦2人で暮らしやすい家を建てようと考えている方は、間取りづくりにこだわりましょう。
なぜなら、
今の住まいと同じような間取りでは、暮らしにくさを感じてしまうかもしれないからです。老後はより身体に負担が掛かりにくく、くつろげる住まいにする必要があります。
では、どのような間取りなら、シニア夫婦でも暮らしやすい家にすることができるのでしょうか。
今回は、老後におすすめしたい平屋の間取りアイデアや広さ、家づくりの注意点を解説します。
老後は平屋が暮らしやすい
▷施工事例|A.N様邸老後に家づくりを検討するなら、二階建てよりも平屋をおすすめします。
平屋は
段差のない暮らしを送ることができるため、身体に負担が掛かりにくいからです。
また、他にも次のようなメリットがあります。
・温度差の少ない間取りを作りやすい・メンテナンス費用を抑えられる・二階建てと比べて工事期間が短い平屋は階が分かれていないため、空間ごとのつながりを作りやすく、建物全体の温度差をなくしやすいです。
温度差のない家なら、
ヒートショックや
熱中症の危険性を下げることができます。
足場が不要なので外壁や屋根のメンテナンス費用が抑えられる点、工事期間が短いので早く住み始められる点もメリットです。
今の住まいは敷地が広くないので二階建てにしたという家庭も、夫婦二人暮らしの平屋なら検討できるケースも少なくありません。ぜひ老後の住まいに「平屋」という選択をしてみてくださいね。
【平屋】老後でも暮らしやすい間取りアイデア11選
老後でも暮らしやすい平屋の間取りのアイデアを紹介します。
①リビングはゆったりと、ダイニングはコンパクトに
▷施工事例|S.M様邸夫婦2人で暮らすなら、ダイニングテーブルは
2人掛けのコンパクトタイプでも問題ありません。
ダイニングスペースはコンパクトにまとめ、リビングをゆったり確保することをおすすめします。
リビングが広ければ友人や子供や孫を招きやすく、みんなでゆったりと過ごすことができます。今までの住まいの広さの感覚は捨て、2人で住むのに快適な間取りを考えることが大切です。
②水回りを近づけて家事の効率アップ
▷施工事例|K.H様邸家事を楽にするために、水回りの空間を近づけて
効率的な動線を作りましょう。
具体的には次のような動線をおすすめします。
・キッチン・洗面所・浴室の動線:さまざまな家事を同時並行で行える
・脱衣所・ランドリールーム・クローゼット:洗濯を効率的に行える
動線を近づけて、空間同士を行き来する手間や洗濯物などを運ぶ大変さを軽減することで、家事を楽にすることができます。
家事が楽になれば
身体への負担が軽減するため、老後も暮らしやすい住まいになるでしょう。
③玄関とパントリーを近づけて荷物運びを楽に
▷施工事例|T.H様邸玄関から直接パントリーまで行けると、食材の買い出しが楽になります。
たくさんの荷物を持って靴を脱ぎ、キッチンまで食材を持って行くのは大変ですよね。
外から帰ってきたら直接パントリーへ行って食材を一時置きできれば、身体への負担を最小限にできます。玄関とパントリーやキッチンがつながった間取りは、ゴミ出しなどの負担も減らせて便利です。
重いものを運ぶ距離を短くするような、動線にこだわった家づくりをしましょう。
④回遊動線で掃除をスムーズに
▷施工事例|T.H様邸グルグルと回れる回遊動線を作ることで、掃除をスムーズに行えます。
行き止まりがある動線は、同じ場所を行ったり来たりする必要があるため非効率ですよね。
効率的に家事をしたいなら回遊動線を取り入れてみましょう。
また、回遊動線は二方向から空間へアクセスできるため、普段の暮らしでも快適さを感じることができます。
洗面脱衣所へLDKと玄関から行けるような回遊動線を作る場合、次のような動きがスムーズになります。
・入浴や朝晩の準備・帰宅後の手洗い・水回りの家事複数箇所からアクセスできると便利な空間はどこなのかを考えて、回遊動線を取り入れてみてくださいね。
⑤廊下をなくして空間ごとの温度差を少なくする
▷施工事例|Y.K様邸夫婦2人で暮らすための部屋数の少ない平屋なら、廊下のない間取りがおすすめです。
廊下のない間取りにすることで、
空間ごとの温度差を少なくすることが可能です。LDKを中心として、直接寝室や水回りとつなげれば各空間が扉1枚でつながりますよね。
基本的に扉を開けておくようにしておけば換気がしやすく、空間ごとの温度差が少なくなって快適な住まいに。
サーキュレーターなどを活用すれば、より温度差を減らすことができます。
LDKのエアコン1台で家全体を快適にできるケースもありますので、冷暖房効率の良い間取りを設計士に相談してみましょう。
⑥必要な箇所に手すりをつける
▷施工事例|S.S様邸老後のことを考えて、次のような箇所に手すりを付けておくことをおすすめします。
・玄関や玄関ホール・廊下・トイレ・浴室・寝室段差がある所や立ったり座ったりする空間、移動距離が長い場所に手すりがあると便利です。
後から手すりをつけることもできますので、最初は必要最低限の場所でも大丈夫です。
ただし、
手すりをつけると仮定してドアの開き方や収納の位置などを決めましょう。
⑦寝室とトイレを近づける
▷施工事例|K.H様邸寝室とトイレを近づけた間取りは、夜間に使いやすさを感じるでしょう。
寝室や廊下に足元灯などを採用し、暗くてもトイレに行きやすいようにすることおおすすめです。センサーライトでも良いですが、明るすぎると目が覚めてしまうこともあります。
注意点は、トイレを間取りの端に配置してしまうと、日中の使い勝手が悪くなってしまう点です。
寝室と近くて
日常的に使いやすい位置を考えて、トイレを配置してくださいね。
⑧家族が帰省できるように個室を作る
▷施工事例|K.M様邸子供や孫が帰省しやすいように、客間を作っておいても良いでしょう。
特に、家族が遠方に住んでいて帰省時は必ず泊まるなら、客間があると便利です。
リビングと隣接した和室を作れば、普段から活用しやすい空間になります。
扉やロールスクリーンなどで仕切れるようにしておくと、寝泊りする部屋としても使いやすいです。
⑨夫婦それぞれの時間を楽しめる空間を作る
▷施工事例|K.H様邸家の中で行う趣味があるなら、専用の部屋を作ることもおすすめです。
退職後の暮らしは夫婦で過ごす時間が長くなるため、1人でゆったりと過ごせる部屋が欲しいという意見も少なくありません。趣味に没頭できる部屋を作ることで、より充実した暮らしを送ることができるでしょう。
アウトドアな趣味があるなら、広めの
土間収納を作って道具を整理整頓できるようにすると便利です。
⑩畳コーナーはフラットか高めの段差をつける
▷施工事例|K.H様邸間取りに畳コーナーを取り入れるなら、床面と同じ高さのフラットなタイプにするか、高めの段差をつけることをおすすめします。
床面とフラットな畳コーナーなら、
バリアフリーなのでつまづく心配などがありません。
また、
40cm程度の高めの小上がり畳にすることで、腰掛けにも使うことができます。
1度腰をかけてから畳へ上り下りができるため、身体への負担も少なくて安全です。
おすすめしないのが20cm程度の小上がり畳です。階段1段分ほどの高さなのでつまづいてしまう可能性もあり、座るときは低すぎて足腰に負担がかかります。
細かな高さなどにも気を配りながら、間取り作りを進めてくださいね。
⑪玄関ポーチはスロープをつける
駐車場と玄関をつなぐ「玄関ポーチ」は、
スロープや手すりをつけることをおすすめします。
一般的に、玄関ポーチは2~3段の階段で仕上げることが多いですが、老後は上り下りが大変になる可能性も。
また、雨の日は滑りやすいので転倒などの恐れもあります。
手すり付きのスロープなら安全性が高く、介助が必要なときや車椅子になっても使いやすいです。長い目で見て、暮らしやすい間取りを採用しましょう。
シニア夫婦は20坪程度の小さな平屋がおすすめ
▷施工事例|A様邸夫婦2人で暮らすなら、コンパクトな平屋をおすすめします。
暮らしやすい動線にするなら空間同士の距離を縮めるべきですし、掃除を楽にするなら使わない部屋は作らない方が良いですからね。
無駄な空間を極力なくしたコンパクトな平屋をおすすめします。
夫婦2人に必要な一般的な家の広さは20坪前後
夫婦2人暮らしに必要な平屋の坪数は20坪前後です。
具体的な広さを確認しましょう。
・LDK:16~18畳・寝室:10畳・玄関:4畳・浴室:2畳・洗面脱衣所:3畳・トイレ:1畳・廊下:1畳・その他収納:2畳・合計:39~41畳(約19.5~20.5坪)寝室や洗面脱衣所、玄関には収納も付けられるよう、広めにしています。
20坪の平屋なら、夫婦でゆったりと過ごすことができるでしょう。
生活スタイルによって必要な坪数は異なる
ちなみに、家具や物が少ない家庭なら15坪前後でも、十分に生活することができます。
・LDK:14畳・寝室:8畳・玄関:3畳・浴室:2畳・洗面脱衣所:2畳・トイレ:1畳・廊下:1畳・その他収納:1畳・合計:32畳(約16坪)今までの住まいの家具を使い回すと、かなり窮屈に感じる可能性もあります。
コンパクトな平屋にするなら、
新しい住まいの広さに応じた家具選びが必要です。一方で、次のような要望があるなら25坪前後の平屋を検討しても良いでしょう。
・夫婦で寝室を分けたい・趣味部屋が欲しい・ランドリールームや土間収納が欲しい坪数の例を紹介します。
・LDK:16~18畳・寝室:6畳×2・玄関:4畳・土間収納:2畳・浴室:2畳・洗面脱衣所:3畳・ランドリールーム:3畳・トイレ:1畳・廊下:1畳・その他収納:2畳・趣味部屋:2畳×2・合計:50~52畳(25~26坪)夫婦2人暮らしの平屋でも、住む人の生活スタイルによって必要な住まいの広さは異なります。
ご自身にとってベストな広さを考え、狭すぎず広すぎない平屋を計画することが大切です。
60才からの平屋の家づくりで注意すること
60才からの家づくりは、30代の子育て世代の家づくりとは異なる点がたくさんあります。
注意点を紹介しますので、間取り作りの参考にしてみてくださいね。
洗面所・トイレ・浴室は広めに設計する
将来、介護が必要になっても対応できるように、水回りは広めに設計しておくことをおすすめします。
介護者と一緒に入れる広さや、車椅子で入っても問題ない広さにしておけば、将来リフォームする必要はありません。
設計士と相談しながら、ゆとりを持った空間づくりをしましょう。
廊下は車椅子が通れる幅だと安心
廊下の幅も注意が必要です。
一般的な尺モジュールの廊下は、有効幅が78cm程度しかありません。
さらに手すりをつけると、より狭まってしまって車椅子で通ることが難しくなってしまいます。
尺モジュールでも廊下幅を少しだけ広げることができますので、よく通る動線上は幅を広げることをおすすめします。
90cm以上の幅があるとゆとりを持って通行でき、角も曲がりやすいため検討してみてくださいね。
開き戸ばかりでは暮らしにくくなる可能性も
老後の家づくりでは、ドアの種類にも注意しましょう。
開き戸は前後にドアが動くため、開け閉めの際に身体を動かす必要があります。
そのため、老後になると開き戸が負担に感じるケースも少なくありません。
扉が左右に動く引き戸なら、立ち止まったままドアの開閉ができるため便利です。また、開き戸と比べて開口幅が確保できるため、車椅子などでも通り抜けがしやすくなります。
頻繁に使うドアは、意識的に引き戸を取り入れてみてくださいね。
住宅ローンを利用するなら期間や借入額に注意
60才からの家づくりで住宅ローンを借入するなら、期間や借入額に注意が必要です。
住宅ローンは完済時の年齢が設定されているケースがほとんどなので、希望している期間の借入ができない場合も。借入期間が短くなってしまうと、月々の返済額が高くなってしまいます。
また、健康上に問題があって住宅ローンの借入ができない場合もあります。
団体信用生命保険への加入が必須の住宅ローンは、
健康状態が審査内容に加味されるため注意しましょう。
おわりに
老後に夫婦2人で暮らすための家の建て替え・住み替えを検討するなら、
年齢に合わせた間取りづくりをすることが大切です。
シニア夫婦が快適と感じる家は、子育て世代とは異なる点が多々あります。
安全性や動線、適切な広さなどを意識しながら、夫婦が暮らしやすい間取り作りをしてくださいね。
アイリスホームでは、お客様の暮らしに寄り添った家づくりをしています。
夫婦2人が暮らしやすい平屋のご提案も行っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。